▼自社の業務システムの操作マニュアル
最近、たてつづけに興味深い現象に遭遇しています。業務マニュアルと操作マニュアルについてのことです。今回は、操作マニュアルについて書いてみます。操作マニュアルを、事実上、業務改革のツールに使う傾向が見えるというお話です。
操作マニュアル作成について、ご相談くださる方が、昨年からかなり変化しています。数年前までは、システムの提供者の方が半数近くいました。いまや相談なさる方のほとんどが、業務システムを使うユーザー側の方々です。
企業内で、業務システムの操作マニュアルを書いている方々からいただく質問は、かなり切実であります。
操作マニュアルなしで、各人がシステムを使うため、本来必要なデータが使いものにならない…。たくさんある機能のうち、何を使ったらよいのか、基準が決まっていないため、それを交通整理するように言われている…。
ウソのようなお話ですが、どちらかというと勝ち組企業でのことです。
▼業務システムの使い方の標準
最初、何でこんなことが起きているのか、よくわかりませんでした。詳しくお聞きするうちに、だんだんわかってきました。
まず、操作マニュアルを作るように言われている方々が、かなり優秀であるということです。ご本人たちも、大切なお仕事だとわかっていらっしゃいます。これはよい傾向ですね。ところが、要求がすごいとおっしゃいます。
操作マニュアルを使ってもらえるようにすること、これは当然の要求です。簡単ではありませんが必要です。問題は、その前提となる要求です。
さまざまな言い方で言われているようですが、操作マニュアル作成者に対して、業務システムの使い方の標準を作ってほしい、ということのようです。
業務システムですから、業務をどう行うかによって使い方が変わるはずです。その点からすると、操作マニュアル作成者の仕事ではないように思います。逆に、操作マニュアル作成者に対して、こういうふうに業務システムを使いますという指示があるべきでしょう。
▼操作マニュアル作成が業務改革になる場合
お話を聞くうちにわかったことは、業務システムを新たに導入したり、変更を加えた時期がだいたい2009年から2010年の企業が多いのです。会社が変わらなくては、という危機感の強かった時期です。
そのとき、業務改革の一環として業務システムを新たにしています。その時点で、業務の仕方は変わったはずです。しかし、それによって業務が効率化、高度化したかということになると、どうやら問題があるようでした。
それで業務システムを使うと何ができるのか、もう一度検討して、業務の効率的な使い方を決めたいということになったようなのです。システムのことがわかっている人に、業務のことを聞いてもらって、最適化してほしいということでしょう。
若いリーダーにお聞きしたところ、かなりの自由が与えられています。私からのアドバイスは、上司を巻き込んでくださいということでした。これは会社の仕事の仕方を決める、とても大切なお仕事です。
ここでは、業務のことを各部署から聞き取って、システムの使い方の標準を決める作業が主になります。それを操作マニュアルに、まとめることになります。これは業務改革そのものですね。権限のあるリーダーがその気になれば、成果が上がると思います。
考えてみたら当たり前のことでした。業務マニュアルが、業務システムの影響を受けるのと同様の現象が起きているのです。