1 業務の反復継続に必要な指針
業務マニュアルとは、どういうものでしょうか。その前提となる業務とは、どういうものでしょうか。業務とは、反復継続する仕事のことだと言えそうです。したがって、業務マニュアルが、反復継続する仕事を支える存在であることは間違いありません。
業務が反復継続するためには、大枠が決まっていることが必要です。業務を設計して、実際に使える形式に構築しておく必要があります。業務の設計と構築がなされているからこそ、業務が反復継続して回していけるということになります。
ときに業務のフィードバックサイクルを回すという言い方がなされます。業務を実行し、それを測定して、目標との違いを比較し、修正しながら業務を遂行していく…ということです。こうしたサイクルを回すときの指針となるものが、業務マニュアルです。
2 改善を組み込むことが必要
ここで大切なことは、業務マニュアルには、改善をするための仕組みが、組み込まれている必要があるという点です。フィードバックサイクルを回す過程で、大枠を変えずに、少しずつよりよい方法を採用していくことが、改善です。
業務を運用しながら、よりよい方式に改善していかなくては、反復継続している価値がない…とも言えます。業務の継続を強みの源泉にするためには、反復継続のたびに改善して行く仕組みが必要となります。改善を組み込まないと、運用が継続できません。
では、業務マニュアルは、誰から誰に向けてのものなのでしょうか。言うまでもなく、組織から業務従事者に向けてのものになります。業務マニュアルは、トップダウンの形式をとります。このことを意識しておく必要があります。
3 組織の目的を実現するための機能
組織には目的があります。組織の目的を実現するために、経営陣は、業務を設計・構築しているといえます。この点から、業務従事者が業務を遂行できるようにするものが、本来の業務マニュアルだといえそうです。
こうした業務マニュアルの概念を設定すると、いままで業務マニュアルの範疇に入らないものまでが、業務マニュアルの一群に加わってくることがわかります。たとえばOJTは業務マニュアルとは別のものだと扱われてきました。
しかし、業務マニュアルと呼ばれる文書に書かれている内容と同じことを、OJTによって行っている場合、OJTは同じ機能を果たしていることになります。業務マニュアルという概念からOJTを排除する必要はありません。
業務を行うのに、どちらが役立つ手段か…から考えるべきです。成果をあげる手段を選択すればよいのです。OJTの場合、きちんとした実施プログラムを作らずに、個人に丸投げする傾向があった点が問題でした。今後、OJTの整備が重要になってくるはずです。(つづく)