1 コンセプトとはどういうものか…?
就職活動がスタートして、学生たちも真剣になってきています。先日3日間、春休みの特別講義に行ってきました。講義のあと、十数名の学生がつぎつぎやってきて、あれこれ聞いてきました。自分の思いをどう伝えたらよいのか、自分でももどかしいようです。
自己アピールをどう書いたらよいのでしょうか…とか、自分が大切にしてきたことを1分間スピーチにしなくてはいけないのですけれども…とか、悪戦苦闘しています。どうやってまとめたらよいのか、訓練をしてきていませんから、苦労するのも仕方ありません。
ビジネス文書とあまり変わりません。コンセプトを明確にすることが大切です。コンセプトと言われても、学生にはわかりません。相手が求めることで、自分が何か言えることはないかを見つけて、それをどういう形式で示すかを決めることだと言っておきました。
2 企業側は何を求めているのか…?
自己アピールにしても、1分間スピーチにしても、それが聞かれる目的は、どんなものでしょうか。企業側は、学生が大切にしてきたことを聞くことで、自社に向いているかどうか判断するということでしょう。相手に生き生きと伝わる内容でなくてはなりません。
自分の言いたいことを言うだけでは、会社側が満足するはずありません。何人かの学生達の話を混在させて、「自分が大切にしてきたこと」の事例を考えてみます。子供の頃から卓球をやってきた経験をもとに、自己アピールしようとする例を取り上げます。
この学生も、自分の思いを伝えきれずに、よくわからない文章を書いています。エピソードに「いつ・どこで」が抜けているところがあります。自分の中で大切だと思う出来事をピックアップしたら、それを客観化することが必要です。
3 卓球を続けてきた話をテーマに
卓球を始めたきっかけを聞いてみました。「13年間、卓球をやっていたなら、相当小さい頃からだと思うけれども、何歳からなの…?」「5歳からならすごいじゃない、どうしてはじめたのか、簡単にエピソードをまとめてみたら…、そう、TPOをまず書く」。
「5歳の時」、「近所の練習場に通いだした」、「叔父が卓球大会に出るので家族で応援に行き、試合後、ラケットを持たせてもらったら、なかなか手放さなかったらしく、そのまま通うようになった」…といった内容でした。これだけでは、まだ材料不足です。
学生は、何度もやめたくなったけれども、それを乗り越えるために工夫したことをテーマにしていました。しかし、本当にやめるほどの深刻な感じがありません。ポイントは、どうやら別のところにありそうでした。一行で記述された項目に注目しました。
好きでやめなかった結果、中学の時、団体戦の一員として全国大会に出られたのです。聞いてみると、この成功体験が重要でした。これ以降、意識して練習方法を工夫するようになったのです。成功体験が自分を変えたのでした。さて、どうまとめましょうか…?
(つづく)