1 OJT・講習会用のマニュアル
操作マニュアルや業務マニュアルとは別に、重要な存在になりそうなのが、教育用マニュアルです。複雑な機械の操作をマニュアルで示すだけでは、とても覚えられないという場合、教育用マニュアルを作って、OJTあるいは講習会を行うことになります。
OJTの場合、先輩に丸投げして、教えてあげて…と言うだけで済ませている職場もあるようですが、だんだんそれでは成果があがらなくなってきています。上手に教えられる人が教育用マニュアルを作って、それをもとに、実地で操作を覚えて行くことになります。
かつて杉浦和史は、医療従事者向け「PowerPoint操作マニュアル」を作りました。実際の仕事ができればよいので、必要なだけの内容のテキストです。ページ数は17ページでした。2時間でわかるように講習会を行いました。効果が上がるのが見えるようです。
2 教育用マニュアルの目的
業務に関しても、教育用マニュアルがないと、どうやって仕事をしたらよいのか困る場合があります。指針があると、どちらに進んだらよいのかが見えきて、やっていける気になります。こうすればよいというガイドがあることで、モチベーションが上がるのです。
業務に関する教育用マニュアルの場合、方向を与えることが重要です。提示された指針に沿って仕事をしてみたら、うまく行ったという事例の蓄積が成功の基準になります。知識の習得よりも、考え方や手法を身につけることが教育用マニュアルの目的だといえます。
少し前に、雑誌の編集者が記事の書き方のマニュアルを作っていたことを知りました。何十年も前に作成し、改定が続いています。プロの記者を養成するためのマニュアルは、たしかに必要です。この雑誌の記者たちから、いい記事がたくさん生まれたことでしょう。
3 作成が難しい教育用マニュアル
教育用マニュアルの作成は簡単ではありません。先の事例にあったPowerPointの使い方を身につけるためのテキストは17ページでした。必要最小限に絞れるかどうか、これが作成者の腕の見せ所です。エッセンスが何であるのかわかることが、実力なのでしょう。
何が出来ればよいか、仕事の目的、利用の目的をしっかり把握していないと、教育用マニュアルはコンパクトにできません。残念ながら、たいてい厚いマニュアルになっています。目安に過ぎませんが、読まれるためには30ページ以下であることが条件でしょう。
トップランナーの会社でも、今になって教育用マニュアルを本気で作り出しています。一部の部門では何十年も前から作成していたかもしれませんが、遅れている部門がかなりありそうです。マニュアル作成者も成果をよく見極めて、改訂を繰り返す必要があります。