1 必要な図かどうか
図解表現入門講座を行ってきました。4月初めの忙しい時期に、たくさんの方に受講いただき感謝しています。この講座では、図解するときに、どんなことをチェックしておくべきか…など、図解をするときの最低限の考え方をお示ししています。
大切なことは、図にすべき内容があるかどうかの確認です。あえて図にする必要のないものまで図にしても意味がありません。ビジネスの場合、図の内容が使えるものでないと困ります。何となくこの辺に図が欲しいといった発想では、よい図など作れません。
図に盛り込まれている要素が明確なものなのかどうか…など、いくつかの判断基準に基づいて、この図は必要かどうかを考えていきます。そうするうちに、この図は必要か不要かが、だんだんわかるようになってきます。こういうセンスが大切です。
2 手で描く過程
作図をするときに、手で描くことに慣れておくことも大切だろうと思います。少なくとも、手で描く時期があったほうが作図にはよいでしょう。手で描くということは、描くと同時にプリントアウトされる形態ですから、おかしいことに気づきやすくなります。
大ざっぱであっても、とにかく完成形を見ようとしたら、手で描くほうが早いはずです。形になったものを見て、これでいけるかどうかの判断ができます。手で描けるくらいのシンプルな容器に内容を盛り込むなら、内容本位の図になることでしょう。
デザインをする人は、手で描くことを重視しています。自動車の設計をする人達も、CADだけで設計していると何となくセンスがおかしくなるらしく、手で描くことを一定期間取り入れているようです。作図の場合も、手で描くことに効果があります。
3 内容に形式を合わせる
図解で使う形式は、あまり複雑なものでないほうが、かえって内容がよく伝わります。シンプルな道具を使って、内容にふさわしい図を考えるのが、図を描くときの基本です。無駄なところをなくして、いかにシンプルにするかがポイントになります。
一番まずいのは、何となくよさそうな形式に、内容をあてはめていくことです。いわば、服に身体を合わせようとすることになります。身体に服を合わせなくてはいけません。伝える内容にふさわしい服は、ビジネスの場合、シンプルなものがよいのです。
図で何を伝えようとするのか、内容を決めることが先決だということになります。伝えたいことが何であるのかを意識することによって、それにふさわしい形が決まってきます。図で表現するのにふさわしい内容を図にする…ということです。