1 代替できないセンス
先日の勉強会の帰りに何人かで喫茶店に入って雑談をしていたときに、目利きの話になりました。特別なセンスを持った人のお話です。ああいう人は他にいない…と言ったところ、そういう特別な人でないとダメなものですか、と言う人がいらっしゃいました。
一定以上の付加価値をつける領域の場合、どうしても代替できないセンスが必要になります。こういう場合、属人的になるのは当然です。誰にでもできるような仕事では、一定以上の付加価値はつきません。希少性が重要なのは当たり前のことだともいえます。
こういう話になると、業務マニュアルとの関係はどうなっているのかと気にする人が必ずいます。業務マニュアルを作ろうという人達が、マニュアル化する動機として、業務が属人的になっているから…という理由をあげることがよくあります。
2 属人性の分析が重要
作業手順を事細かに書くことによって標準化できる業務は、付加価値の高い業務ではありません。業務マニュアルに作業手順を中心に記述するのは、もはや過去のものとしたいものです。業務にいかに付加価値をつけるか…がポイントになります。
高い付加価値のある業務を行う人の属人性を分析して、多くの人と共有することができるかどうか、その判断が重要です。ただ限度があります。圧倒的な付加価値のある仕事を分析して共有することは、ほとんどできないか負担が大きすぎるのが通例です。
逆に圧倒的な人がいたなら、その人たちに力を発揮してもらう環境やルールを考える方が成果をあげることでしょう。こうした属人性に違和感を持つ人はたしかに一部にいます。しかし時間をかけて、その遺産を継承することを考えるほうが実際的です。
3 業務習得には実践が必要
業務マニュアルの再定義が必要なのでしょう。業務マニュアルは、いかに付加価値をつけていくかを検討する道具として位置づけられるべきです。業務マニュアルで記述すべき内容は、一定の条件と、進むべきベクトルや基準が中核になっていくことでしょう。
業務作業の習得のためには、テキストとともにOJTなどの実践が、必要かつ効果的です。こうした実践を伴う学習は、標準化可能な基礎的業務だけでなく、付加価値の高い業務の習得にとっても有効でしょう。かえって付加価値の高い業務ほど実践が大切です。
このとき付加価値の高い業務を実践できる人に、指導のプログラムを作ってもらうべきでしょう。これはノウハウの継承に必要なだけではありません。仕事のできる人が教える立場に立つと、自分の仕事を振り返ることになって、さらに実力をつけることになります。