1 プロジェクトと文書化
プロジェクトマネジメント協会の5月27日の例会でお話をさせていただくことになりました。昨年のシンポジウムで行った講義の内容に手を加えたものです。テーマ名がいささか不明確です。「プロジェクト成功の鍵となる文書化手法」となっています。
新しい業務をはじめようとしたり、プロジェクトを成功させようとするとき、文書化のところで引っかかることが多い…という実感がそのままテーマ名になりました。言葉による記述が、ビジネスでも学問でも基礎になるということの再確認がポイントです。
肩書きが業務コンサルタントになっていますから、そのあたりからお話をすることになりそうです。業務を記述することによって、業務を整理し、業務の見直しを促すお手伝いをしています。業務の見直しをするのは私ではなく、業務従事者である専門家です。
2 強い組織ほど業務を見直す
強い組織ほど業務の見直しをつねに考えています。これはグローバル化の反映でもあります。ビジネスのモデルチェンジが早くなったということです。製品のモデルチェンジが当たり前であるように、ビジネスのモデルチェンジが当たり前になっています。
業務改革を行おうとしている組織から、業務の記述の仕方を教えて欲しいという依頼があって、研修を行ったことがありました。業務改革のコンサルタントを何度か入れたものの、成果があがらないということでした。書かないとダメだと気づいたというのです。
業界トップのような会社ですから、このあたりの感覚は鋭いと思いました。記述できないと仕組みやルールにならないのです。全国からリーダーが集まって、研修で終わらせずに翌日から合宿になって、そこでいわゆるワイガヤを行う段取りになっていました。
3 文書化の過程と構築・運用の過程
記述するということは、文章化することです。思考を見える形式にすることによって、ぶれない形式にできます。文章に固定化するという言い方もできるでしょう。固定化できたものは複製が作れます。それによって多くの人が反復して利用可能になります。
こうして記述しておけば、何人もの人が様々な角度から客観的にみることができます。その結果、新たな視点が提示されることも期待できるでしょう。さらに大切なのが文書にまとめることです。文書にまとめる過程をもう一度意識して行うことが重要になります。
これもポイントになります。自分の考えをビジネス文書にまとめる過程は、業務やプロジェクト構築・運営の過程とほぼ同じです。あるいは文書化の際に、意識して業務の構築・運用の過程と重ねていくことが大切だと言うべきことになります。