1 前提条件となる記述能力
先日、「英語を書く能力と格差:規範英文法と現代のビジネス」について書きました。最後の…<書く能力が格差を生んでいる面があるのかもしれません。日本語でも同じことが起きようとしています。どうやら急速に…です>という部分が「意味深」だとのこと。
皆さんの周りでもそうなっていませんか、というほどの意味でした。水準以上の報告書が少ないという話ならご存知でしょう。さらに言えば、記述が業務把握と構築の基礎ですから、書く能力が業務の管理に直結します。若手リーダーの記述能力が問われるのです。
管理職の仕事は、人の管理というよりも業務の管理が中心的役割になっています。当然、業務の把握が判断の基礎になります。管理する立場にいる人なら、業務の枠組みが認識できているはずなのです。記述の能力は前提条件であって、問題にならないはずでした。
2 業務の把握と構築が本格化
業務を把握し、構築しなおす作業が本格化しています。研修のテーマから見る限り、数年前から一部の企業で業務の見直しがはじまっていました。今年に入ると業務マニュアルの講座が1ヶ月前に満席になったり、講座のニーズ調査でトップになったりしています。
業務を把握するときに、まず現場からの聞き取りを記述しなくてはいけません。この段階で足踏みするとは思っていなかったはずです。業務を見直しする機運が本格化するに連れて、何かがおかしい、基礎が抜け落ちていると認識されてきています。急速に…です。
業務の聞き取りをして記述したなら、業務フローにします。フローにする過程で、業務の聞き取りが十分だったかどうかが見えてきます。次の段階に進もうとするときに、記述が不十分であることに気づきます。記述から、シンプルなステップが描けないのです。
3 業務の現状から設計図を作る作業
急速に業務が変化していますから、多くの組織で業務の流れが大ざっぱになっていたのです。業務の設計なしに仕事を始めて、その都度あれこれやりくりして、なんとかニーズに対応していた…といった感じがあったのでしょう。そろそろ見直さないといけません。
こういう状況ですから、担当者の話を聞いて記述すれば済む話ではないのです。(1)業務の聞き取りを記述し、(2)業務フローを作り、(3)業務のプロセスを整理する…というステップはいわば現場主義の現状把握になります。「虫の目」の視点というべきでしょう。
設計図がないのですから、現実の状況を見て設計図を作っていく必要があります。そうなると、「鳥の目」というべき業務の全体を見る視点が必要になります。これはマネジメントの視点でもあります。業務の現状把握をするときにフィルターの役割を果たします。
ノイズを除去しないと、業務のシンプルなステップなど描けません。組織の目的から事業の定義を作り、ビジネスモデルを作り、目標を立てそれを管理し、改善し、再構築するという一連の流れが頭になくては記述できません。まさに論文の書き方と同じなのです。