1 必要な改善であるかどうか
マネジメントの勉強会で、組織の業務について参加者の人と考えてみました。いま自分たちの組織(会社)で問題があると感じるところを、思いつくまま出してくださいというのがはじめの課題です。問題点などいくつもありそうですが、意外なほど数が出ません。
こういう会に来る人の場合、組織の業務を考えるとき、小さすぎる問題を排除していきます。自然に、何が大きな問題かという質問に変わっているようです。たいてい3つくらいの問題点に絞られていきます。ここで出される内容はなかなか興味深いものです。
今回、さすがに業績の良い会社はすごいものだと思いました。問題は確かにあるのですが、業績を悪化させる問題ではありません。もっと業績があげられるのに、それをやっていないというのが共通する問題点でした。この場合、改善が必要とは言い切れません。
もっと業績があげられる可能性のある場合、それを実現しようとすると現状の別の部分が壊れることがあります。実際、そのリスクを感じて、その会社では何も手をつけないでいるとのことでした。賢明な判断だと思います。これは優先的な問題ではありません。
2 好調な業績の基礎はどこにあるのか
次に自分たちの組織がうまくいっている点をあげてもらいました。たいてい成功の原因はシンプルですから、たくさんの項目が上がらないのが普通です。先の会社の場合、各部門ごとにゆるやかな競争原理が働いていて、現在うまく回っていますということでした。
ではこの会社に問題がないと言えるでしょうか。業績の裏づけもあって素晴らしい状況ですが、安心しているとつまずきの原因になるかもしれません。現在の業績好調の基礎をどうやって築いてきたのか、それが問題です。一貫して業績が順調なことなど稀です。
現在の業績がよくても、過去5~6年を見ると、たいてい大小の問題を乗り越える経験をしてきています。こうした視点から組織を見ると、たとえ業績が好調であっても、何となく危機感を感じるのでしょう。マネジメントや業務のことが気になるようです。
危険水域に達してから危機感を持つのでは、たいてい手遅れになります。このことを十分にお分かりの方々がたくさんいます。そのためにマネジメントの勉強会には、どちらかというと業績のよい会社の人たちがいらっしゃいます。明日を考えているのです。
3 エンジン役の属人化
先の業績順調な会社の方に、いままで新たな業務体制を作ってきたエンジンは何であるかを確認してみました。新しい仕事のほとんどを特定の取締役が一人で作っているというのが答えでした。比較的小規模の会社でよくあることです。完全に属人的になっています。
属人化自体、避けられないことだと思います。新しい仕事を作ることは難易度の高いことですから、そんなにたくさんの人が同じ役割を果たせるとは思いません。問題となるのは、この人が独断的である場合か、この人に十分なサポートがついていない場合です。
独断的な人などそんなにいません。中核となる人の周囲に人が集まり、仕事をしながら学んでいく仕組みができているかどうかがポイントでしょう。属人化のリスクを減らすために、その人をサポートし学ぶ人が必要です。この点が先の会社の問題かもしれません。