1 必要不可欠な図のみを選択
図解講座を行ってきました。基礎講座ですので、図について基礎からお話をしています。図解をするときに基礎になるのは、その図がよいものかどうかがわかること、必要かどうかがわかるということです。不要な図や不適切な図は排除しなくてはなりません。
良い図であるか、必要な図であるかがわかるなら、あとは作り方のルールを覚えれば合格点の図が作れます。ビジネスで使う図ならそんなにたくさんのルールがあるわけではありませんので、図を作るごとにセンスがよくなっていくはずです。
図で何を伝えたいのかを明確にすること…これが図を作るときの前提になります。シンプルなメッセージになっていると、伝えようとするものが伝わりやすくなります。一つの図であまり複雑でたくさんのことを伝えようとしないことが大切です。
ビジネス人が作る図ですから、伝えるべき内容が客観的なものが中心的になるはずです。文書に関連したものであるなら、鍵になるデータや情報を図にして載せておくと、文書全体がわかりやすいものになります。どういうデータが必要か選択が大切です。
図を際立たせるには、図そのものが適切で上手に作られていることも大切ですが、図の数を絞ることによっても効果を上げます。必要不可欠な図だけに絞ることが効果的です。たくさんの図が並んでいると、よくできた図があってもあまり印象に残りません。
2 色数を絞ったシンプルな形
図で何を伝えるのかが明確になったなら、それを伝える図を作る段階になります。ビジネスで使う場合、そんなに複雑な図を作る必要はありません。シンプルな形で、色数を絞って、自然な流れに沿った配置ができたなら、よい図になります。
図を構成する基本的な要素は、形と色と配置です。出来上がったものがごちゃごちゃしていたら、その図は成功していません。シンプルな形であることが原則です。円や四角形や三角形、それに線を組み合わせたような、その程度の道具で十分よいものができます。
色もごてごてした感じになっていたら、見直したほうがよいでしょう。あまり強烈な色はごくわずかな領域で使うだけにして、2色とか3色に絞れればそのほうがきれいです。少数の色で作っていく場合、赤・青・緑の系統の色が多くなります。
赤と青、赤と緑の組み合わせが多く、青と緑の組み合わせはあまりありません。青と緑は色の系統が近いためです。系統の離れたものを使う方が見やすくなります。色が円形に配列された「色相環」と呼ばれるものを見たことがあると思います。
円形に並んだ色は隣からだんだん離れた系統の色になり、反対側が反対色になっています。反対色というのは、両方の絵具を混ぜると黒になるものです。図で使う色の場合、系統のちがう色調を選んで、原色よりもやや薄めの色を使うとうまくいきます。
図に色が必要ないときには、当然のことですが無理に色をつけないことです。必要な場合でも、やや物足りないくらいのほうが結果としてよいものになります。形もシンプル、色もあっさりがよいです。あとは目立つ場所に置けば、図の内容を感じ取ってくれます。
3 評価基準は必要で役に立つこと
図がどうやって受け入れられるかを考えてみると、お分かりになることですが、文章を読むのに比べて図を眺めるのはごく短時間です。ぱっと見て、さっと目は他の場所に移っていきます。ぱっと見たときに凝視させるものがないと、見てもらえません。
図は眺めるものです。よく見ないで目の上をさらりと流れるだけに終わるのが普通です。立ち止まらせて、その図をしっかり見てもらうことによってはじめて認識されます。多くの図が、そういえばあったかもしれないという程度に終わります。
目立つ図だから見てくれるのではありません。必要なデータや情報が示されているから、その図が見られます。伝えるべきことのある図、見るべき内容のある図であることが一番大切です。必要なもの、役に立つものというのが図の評価基準になります。
たとえば業務全体を見るときに、シンプルにできた業務フローがあれば一目瞭然です。こうやって俯瞰することができたなら、自然に業務の改善点が思い浮かんできます。図にすると大きく見ることができますから、うまくいった場合、非常に効果があるのです。