1 シンプルな形式での図解
19日に図解作成講座をしてきました。熱心な参加者に支えられて、まずまずの講義ができたように思います。ビジネス人向けの講座の場合はとくに、受講される方との協働作業で成果を上げるしかありません。最近、やる気のある方が目立つのがうれしいことです。
図解を作成することは思考の整理にも役立ちます。自分で思考を整理することができるなら、安直なパターンを使った図解をする必要がなくなります。3つの要素があったら、こうしましょう…といったパターンがありました。それをやめなくてはいけません。
最初にパターン化はやめましょうと言っても、知らないうちに思考の癖が出ます。たとえば演習問題の中に、全体の中の割合(%)が入っていると、つい円グラフを使ってしまいがちです。円グラフを使うと、かえって見にくくなる場合もあります。
図解をするときに、シンプルな形式で作ることを心がけていると、見る人にも分かりやすいものになります。四角や丸などの基本的な道具を使って図解をするのは、その都度、一番わかりやすい形式を考えることになりますから、しばらく大変かもしれません。
しかし基本的な道具で、シンプルな図解を作ることを心がけていると、そのうち分かりやすい図が作れるようになります。そんなに時間をかけなくても、そんなに何度も苦労しなくても、いくつかの成功例を頭に入れておけば、出来るようになるのです。
2 流れる視線を作る工夫
図を見るとき、それを見る人がどこから見始めて、どこに向かって見ていくのか、そのあたりまで意識しておくと、わかりやすさが違ってきます。視線が流れるように、線上にキーになる情報をきれいに並べていくことが理想的な配置です。
たとえば、上から下に向けての矢印と、下から上に向けての矢印が混在していると、困ったことになります。上から下に向けて見ていき、一方で、下から上に向けて見ていくことになります。視線がふらふらした感じです。これではシンプルな図とは言えません。
上から下への矢印を使うなら、上から下に向けて収斂していく形式で図を作っていくのが原則です。図解するものの内容から、そうならない場合もありますが、視線は上から下に向けてのほうが、下から上に向けてよりも自然です。
いい図解をするためには、基本的な道具を使うこと、結果としてシンプルな視線を描いて図を認識できるようにすることが目標です。そこに盛り込む内容に価値があるならば、シンプルなものほど、かえって印象に残ることになります。
3 色使いの原則
図解の場合、ここに色の問題が加わります。色の組み合わせは、専門家でも簡単なことではないでしょう。専門家であれば、いくらでも問題にすべき点があるはずです。ビジネス人だからといって、それら全てを無視するわけにもいきません。
しないほうがよいことが、あげられます。まず思いつくのは、濃い色を何色も使わないということです。濃い色のマーカーを使って多数の線を引いている受験参考書をご覧になったことがあるかもしれません。あれは本人以外、見たくならないでしょう。
色がそんなに濃くなかったとしても、何色もの色が使われていると、うるさく感じるはずです。たくさんの色を組み合わせて美しい色使いをするのは、簡単なことではありません。これはプロに任せる方がよいでしょう。色の数を絞ったほうが有利です。
以上のような、当たり前と言えるほどの基礎的な原則を使って、内容本位の図解をしていくことが図解のセンスを高めることになります。価値ある内容をわかりやすく見せることが図解の目的です。必要のない図は排除しなくてはなりません。それが原則になります。