1 ポイントを絞ること
図解講座を行ってきました。入門講座ですが、図解をする際に必要なことはこれで尽きているだろうと思います。そんなにたくさんの知識が必要なわけではありません。ビジネスで実際に必要な図は、あまり凝ったものではないからです。
先日、研究会で優秀そうな方が、たくさんの情報を盛り込んだスライドで熱心に説明をしていました。世界的なメーカーの日本人スタッフだそうです。ご自身で作ったスライドなのかどうか、背景に上手に写真が挿入されていたり、全体にきれいなスライドでした。
情報を盛り込みすぎたきれいなスライドは、しばしば空振りになります。伝えたい気持ちは伝わってきますが、内容は伝わりません。言いたいことがたくさんあるときに起こりやすいことです。伝わることはわずかなものですから、ポイントを絞る必要があります。
2 少数精鋭が効果的
作図をするとき、その図をぱっと見てポイントが何であるかがわかるようにすることが大切です。明確な内容の事柄を、内容にふさわしい図で示すことができたなら効果があります。ポイントが伝われば、関連する説明の文章もすんなり読んでくれるはずです。
図は突破口になります。一番伝えたいことを伝えるために、図を持ってくるのが王道です。あるいは文章では伝えにくいものを伝えるために、必要不可欠なところで使うのが効果的です。ここぞという場面を見つけて、図を活用するのが理想的な使い方といえます。
大切な図をしっかり見てもらうためには、図の数を絞らないといけません。この文書の図はすべて大切ですよというメッセージが伝わるくらいの数に絞ったなら、各々の図をきちんと見てくれます。見てもらうためには、少数精鋭にすることが不可欠です。
3 フレームで考えるリスク
図の効果は明確性にあります。これが利点です。しかし気をつけなくてはいけません。しらずに曖昧なものを明確にしようとして、強引に作図にしてしまうことがあります。フレームから入って、何らかの結論を導こうとすると、失敗しがちです。
かつて流行ったSWOT分析など、まさに何かを得ようとして使われたフレームでしょう。あまり使われなくなったものの、まだ残っています。マグレッタの『マイケル・ポーターの競争戦略』でも[得てして分析性と客観性に欠ける]と注記されています。
▼SWOT分析には一貫した経済原理の裏づけがないため、四つの見出しの下に思いつくまま項目をあげるだけで終わってしまう。 『マイケル・ポーターの競争戦略』
大切なことは体に合わせた服を作ることであって、体を服に合わせることではありません。自分の言いたいポイントが伝わるように、それにふさわしい形式を選択することが大切です。言いたいことを明確にする段階があってこそ、図解が生きてきます。