1 基本給の上昇
就職活動が本格化してきました。3月から事実上の解禁で、企業の採用情報がWeb上にも提示されています。今年の就職状況がどうなるのか、まだわかりませんが、すでにいくつか特徴的なことが見えはじめました。そのいくつかを記してみようと思います。
採用情報を見ると、昨年よりも基本給が上昇している企業が増えてきました。働き方改革の影響もあるのか、月給という言い方で残業代込の金額が記載されている会社が減っています。基本給の記述を明確にする会社の場合、たいてい金額面でも改善しています。
2020年の就職活動に関して、条件面ではかなりよいのです。給与や残業時間など、全体的に改善しているように見えます。卒業生たちからの情報でも、残業時間を減らすように苦労しているという話が伝わってきました。その意味では、悪い方向ではないのです。
2 採用に慎重な傾向
今年度の就職状況について、相変わらず人手不足で学生側の売り手市場であるとの記事が見えています。提示する条件がよくなっていますから、もしかしたら売り手市場なのかもしれません。しかし学生の様子を見る限り、今年の就活は厳しいものになる気がします。
条件がよくなる一方で、実際の採用人数が少ないのではないか…という印象があるのです。別の言い方をすれば、あまり条件のよくない求人はたくさんあるけれども、いい条件で募集をする会社の採用人数が増えない傾向にあるのではないか…ということです。
2018年7-9月期のGDPが自然災害でマイナスを記録、チャイナ経済の減速、今年10月から消費税増税の予定、2020年のオリンピック後に景気が後退するとの予測など、複合的に影響しているのかもしれません。少なくとも焦らない会社が増えてきている印象です。
会社側が採用に対して慎重になっている気がします。早期募集に応募した優秀な学生に内定がでなかったり、従来では考えられない事例も出てきました。採用担当の方々も悩んでいるようです。昨年末、人事は失敗続きですとおっしゃった担当者がいました。
3 採用の難しい時代
エントリーシートを見ても、長文でたくさんのことを書くように指示する会社がここ数年で目立ってきています。アイデアを出してくださいという課題の形式も増えてきました。面接で、これをどう売りますか…といった問題を出す企業も増えてきています。
準備したものを暗記して読むように語る学生は、もう採用しません…という方針の会社が圧倒的に多くなっているのはご存知でしょう。正解があるような問題に対して、正解か不正解かを評価対象にしないというのも、めずらしくなくなっているのかもしれません。
こうした基準は正しいはずですが、これで十分なのでしょうか。最近では、内定の決まった学生に採用の事情を語る会社も増えています。聞こえてくる話は立派なものがほとんどです。しかし普段を知る人間からすると、選抜の間違いがそれなりにある気もします。
採用する側も難しい時代になってきたのでしょう。付加価値の高い仕事に従事できる人材が必要ですから、独創的な学生が歓迎されるのは自然です。しかし独創性は簡単に測れません。明らかにすぐれた人はおそらく少数です。慎重になるのも当然かもしれません。