1 「業務マニュアル・OJT編」に名称変更
OJTマニュアルという言い方は簡単に普及しそうにありません。10連休の影響で講座の参加者が少ないと聞いていましたが、「業務マニュアル作成講座・OJT編」という名称への変更のおかげもあってか参加者が増えました。運営の人たちはプロですね。
講義の初めに皆さんがどんなOJTや教育訓練をしたいのか、お聞きします。6時間の講義のうち2時間で基礎と成功事例の話をして午前中が終了です。午後のはじめに作り方の原則を説明して、作成用シートの記入が開始になります。これ以降は個別対応です。
作成が少し進んだ段階で内容を見ていくと、いい感じで進んでいる人と、苦戦している人で差が出来ます。しかし仕事の実力さえあれば、このくらいの違いは誤差にすぎません。OJTや教育を行うときの、具体的な内容が見えてくるまでは苦労するものです。
2 OJTの費用対効果を考える
良質のOJTを安定的に行うためには、誰に対して、どんな内容を、どういう方法で指導したかの記録が不可欠です。その記録を作ることがOJTマニュアルの作成だと言ってもいいでしょう。詳細を記述しなくても、指導する人なら内容はわかるはずです。
教える内容と順番がどうなっているのか、ストーリーのように語れるかどうかが問われます。あなたの実施するOJTの指導内容はどういうものですかと問われたときに、簡潔に答えられるなら、OJTマニュアルはうまく出来上がったと言ってもいいでしょう。
「誰に」向けてのものかを考えるときに「対象者がどのくらいの人数いて、一回のOJTで何人に教えられるか」を確認する必要があります。そしてどのくらいの時間が必要となるのか、ゴールの水準をどこにおくのかということを決めておかなくてはなりません。
OJTを定着させるためには、実施したことに成果があったという評価が必要です。OJTの実施についての費用対効果を考える必要があります。「一回の人数×時間」が費用だとして、成果がどのくらい期待できるのか、何らかの客観基準で示したいものです。
3 優れた教師は少なく教える
OJTマニュアルを作ってからOJTを実施する必要がありますが、最初のOJTマニュアルというのは、完成品ではありません。実践してみると、必ず修正点が見つかります。実施しない段階でのOJTマニュアルは仮説にすぎません。実施が必須の条件です。
実践してみるとわかりますが、一定時間内に教えられる内容は思いのほか少数の項目にせざるを得ません。あれもこれもと何でも教えたい気分になりますが、そんなことをされたら指導を受ける側が迷惑なだけです。多すぎる内容では成果が上がりません。
優れた教師は少なく教えるのです。少なく教えても成果を上げる必要があります。どうすればよいと、具体的には言えないものですが、工夫して実施するうちに見えてきます。「考えて、実践して、修正する」ことを繰り返して能力を上げていくしかありません。
指導する側にいる人は、優秀だから指導するということもありますが、実際には指導法を工夫するうちに実力がさらについていくという面が強く見られます。納得のいく指導のシナリオが作れたなら、他の分野にもよい影響が出てくるのは自然なことでしょう。