■イノベーションについて:夏休みの宿題から

     

1 「アイデア+ビジネス」→「イノベーション」

夏から、少しずつイノベーションについて考えてきました。この間、ジェームス・W・ヤングの『アイデアのつくり方』にあるアイデアの定義、「アイデアとは既存の要素の新しい組み合わせ以外の何ものもない」を、いつも意識していたといえます。

ヤングはさらに、[既存の要素を新しい一つの組み合わせに導く才能は、事物の関連性をみつけ出す才能に依存するところが大きい](p.28)と言うのです。こうして得たアイデアをビジネスにすることによって、イノベーションになるという風に考えられます。

アイデアが大きなビジネスになって受け入れられると、イノベーションになるということです。アイデアとビジネスの2つの段階が必要になります。個人がイノベーションの過程を、すべて実現させることは困難でしょう。組織が必要になります。

     

2 ドラッカー「未知なるものをいかにして体系化するか」

シュンペーターはイノベーションのことを新結合と呼び、企業家という機能を示し、銀行家の役割を示しました。これがイノベーションの中核的な原理だろうと思います。企業家の定義を明確化し、銀行家を再定義すれば、大きく変更する必要はないと考えました。

こうした発想は、ドラッカーの『イノベーションと企業家精神』でのアプローチとは違ったものといえます。7つの機会を考えることなど、どうでもよいことでした。この本に対しては、冷淡なままです。最初に読んだ時からの印象に変わりがありません。

この本よりも「未知なるものをいかにして体系化するか」(『テクノロジストの条件』所収:1957年『変貌する産業社会』)に、興味があります。ドラッカーは、ここで[未知なるものの体系化に基づくイノベーション](p.16 『テクノ』)を論じているのです。

     

3 「コンセプト・秩序・形態・知覚」

ドラッカーの考えは、論文の題名になっているように、「未知なるもの」を「体系化」するという発想でした。一方、ヤングは「既存の要素」を「新しい組み合わせ」にするという考えです。ヤングもシュンペーターの考え方をとっていると言ってよいでしょう。

しかしドラッカーのこの文章には、大きなヒントがあります。コンセプトを重視し、秩序を前提とし、対象を形態として把握すること、このとき分析でなく知覚が重視されるという主張です。これは「新しい組み合わせ」を考えるときに役立つでしょう。

▼重要なものは、道具でなくコンセプトである。宇宙、構想、知識には秩序が存在するはずであるとする世界観である。しかもその秩序は形態であって、分析の前に知覚することが可能なはずであるとする信条である。その知覚がイノベーションの基礎になるとの考えである。そして最後に、その知識は未知なるものの体系化によって一挙に獲得することができ、そこから新しい知識と道具を手に入れることができるとする確信である。 p.16 『テクノロジストの条件』

「コンセプト・秩序・形態・知覚」といった言葉が、何を意味するのか、詰めてみることが必要です。ドラッカーは用語に定義を与えていません。われわれが考えるべきことです。われわれが明確にしたものが、補助線あるいはヒントになることでしょう。

⇒(この項続きます)

     

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