1 マニュアルのベーシックな領域
マニュアルが電子化されることが一般化しています。さらに研修などで動画が活用されることが多くなってきました。今月、電子化や動画に焦点を当てたマニュアルの講座が開催されます。今年から事前のアンケートを実施させていただくようになりました。
マニュアル全般の解説、現在のマニュアルの状況などについて解説してほしいとの要望があがっています。これはマニュアル関連の講座で、一般化している傾向です。ベーシックな領域に焦点が当たるのは、問題点がここにあると感じているからでしょう。
電子化されようがされまいが、マニュアルが成功したら、どうなるかは明確です。業務マニュアルなら、必ず成果が上がります。作成する過程で改善が進み、実践で明らかな成果が上がるようになるはずです。操作マニュアルならば、操作が楽になります。
2 『なぜ星付きシェフの僕がサイゼリアでバイトするのか?』
マニュアルが成功したら、必ず成果が上がるということです。『なぜ星付きシェフの僕がサイゼリアでバイトするのか?』で、村山太一はマニュアル化の成果を記しています。見出しを見るだけでも、何をしたのか、成果がどうか、わかるようでしょう。
「サイゼリアのすごい生産性」「サイゼリアをヒントにレストランを改革」「レストランの人時生産性が3・7倍に」「マニュアルは自走を助けるツール」。これらが、なぜサイゼリアでバイトするのかの答えです。マニュアル作成によって成果が上がるのです。
▼マニュアルがあるからこそ、サービスのクオリティが安定する。何回も繰り返すから、新たな問題点を発見してアップデートすることもできるし、臨機応変に応用したり、一歩進んだことを率先してやることもできる。
そんなマニュアルの絶大な効果を目の当たりにして、「ラッセでもマニュアルをつくろう」と決めました。 p.164
3 ルールを仕組みにする
村山の場合、仕事の大枠を作って実践していきながら、マニュアル化を進める方法を採用しています。実践するスタッフが仕組みを作っていくのです。こうしようというルールを決めたなら、それが守れるように手順を決めて仕組みにしていくことになります。
▼例えば、「ディナー後の掃除と片付けから帰るまで」というマニュアルでは、「最後のお客様が帰ったら即、30分のタイマーをかけ、声をかける」と決めました。 pp..165-166
ディナー後の掃除・片付けが迅速に進むように、工夫した結果だろうと思います。経験からうまく手順が進んだら、30分で片付けられると判断したのでしょう。それを実践するためには、タイマーをかけ、声をかけると効果が上がるとの判断があったはずです。
片付けの30分ルールを実践するために、タイマーをかけて声をかけるだけで、違ってくるのでしょう。こういう発想をする組織であるなら、個々の問題でも楽に実践できるアイデアが盛り込まれるはずです。成果が上がるのは当然と言ってよいでしょう。